ネーションズチャンピオンシップ R3 日本 vs フランス


2026年7月18日

日本 15 - 42 フランス
(前半:15 - 28、後半:0 - 14)

フランスのキックオフ、ラックからSH齋藤がタッチキックを狙わずにコンテストキック。WTB石田が相手のWTBアディソベにあっさり競り負ける。試合の一発目で齋藤が自分の判断で狙うとは考えにくいので、恐らくベンチの判断だろう。邪推すれば、これで石田が獲れれば、フランスの分析を覆し、機先を制することが出来るとでも考えたのだろうか。そこからフランスは左に展開、CTBモエファナにビッグゲイン許す。道中で日本がオフフィート。敵陣深くに入ったフランスは、ラインアウトモールから、最後はHOラモットがグラウンディング。ラモットは大好きなボルドーの選手。心の中で小さくガッツポーズをする私。

開始わずか2分の出来事だったが、今思えばこの2分に、この試合が凝縮されていた。ハイボールで競り負け、自陣でペナルティを犯し、ラインアウトモールを押される、というパターン。

10分、FB松永のPGで 3 - 7。

14分、齋藤がピッチの右端でステップを踏みながら、相手の背後にキック。SOヌタマックが確保し、真ん中あたりのジャリベールにパス。ジャリベールは大きくキックで蹴り返す。この時、フランスの殆どの選手はビッチの(日本側から見て)右側に残っていた。キックをキャッチしたのはSO伊藤。伊藤は何の迷いもなくトップスピードで走り始める。左に残り、数的優位を保っていたCTBライリー、そして石田へとパスが繋がり逆転トライ。伊藤の視野の広さ、判断と思い切りの良さが出た、素晴らしいトライだった。

しかし、日本のピークはここまでだった。

17分、敵陣22mでのフランスのラインアウト。モールで20mくらい推進しゴール前まで迫る。ここまで来られたら流石に守り切れない。フェーズを重ね、最後はジャリベールがグラウンディング。道中でLOホッキングスがイエロー。

20分、フランスは自陣からSHリュキュがコンテストキック。またも石田がアディソベに競り負ける。フランスの攻撃中、日本がノットロールアウェイ。ヌタマックの精度の高いタッチキックで、またも日本のゴール前へ。ラインアウトモールからフランスが電車道。抑えたのはNo.8ルマット。またも前述したパターンで失トライ。

28分、日本陣内10m過ぎでのフランスボールスクラム。ホッキングスがいないスクラムでペナルティを取られる日本。ラインアウトモールから、今度はラモットがラン。いいぞラモット!そして素早くピックしたリュキュがグラウンディング。

34分、敵陣ゴール前まで攻め込んだ日本。モールから右に流れた日本は、伊藤が右端のWTB植田へキックパス。もう少しキックが低かったら、もう少し植田のジャンプのタイミングが合えばトライだった。ただ道中でフランスがペナルティ。タップからHO江良が猛突進。こぼれ球をPR大塚が素早く拾ってトライ。スタジアムDJ?が「江良のトライでした~」と叫んでいたのは草。

15 - 28 で前半終了。

後半、石田に代えてメイン平を投入すると思っていたら、選手交代は無し。不安は的中する。

42分。自陣からSHリュキュがハイボール、またまたアディソベが石田の背後から手を伸ばしてクリーンキャッチし、そのまま走る。サポートしていたモエファナからパスを貰ったルマットが独走。何とかゴール前で止めるも、最後はジャリベールが今日2トライ目。

ここで石田を攻めるのは違う気がする。アディソベとは15cmの身長差があるのだから無理もない。それよりも、ハイパントが来そうだったら、後ろに備えている伊藤や松永がもっと前に詰めさせたり、あるいはLOを戻らせないと、石田に任せきりなのは気の毒だ。もっと言えば、それを指示できなかった首脳陣の問題だろう。恐らくこのプレーが決定打となり、アディソベはPOTMに輝いた。POTM選考委員会?も、この試合でのハイボールの重要性を感じてたのだろう。

48分、日本は自陣22m内でペナルティ。じりじりと攻められ、最後はまたもルマット。今日2度目の心の中でガッツポーズ。

60分、石田に替わって入ったWTBメイン平が、ハイボール争いでいきなりアディソベに競り勝つ。その時の自分のメモ→「最初っからメイン平入れとけよ、○○が!」(○○は自粛)

その後、FLコストリーやSO上ノ坊が替わって入った辺りから、日本に勢いが出てきた。

64分には、そのコストリーがグラウンディングしたかに見えたが、惜しくもダブルムーブメントでノートライ。

この時間帯、あきらかに日本の流れだったが、敵陣での攻撃中に、トゥアが痛恨のノッコン。72分くらい、自陣から繋いだ日本が敵陣に入るも、今度はPR岡部がノッコン。

結局、後半の日本は無得点で試合終了。



赤い稲妻ルイ・ビエル=ビアレを生観戦しようと思って取った国立のチケット。ビエル=ビアレは観れなかったが、ポワロ、ラモット、ガゾッティ、リュキュ、モエファナ、ジャリベールら、大好きなボルドーの選手たちを沢山観れて、個人的には満足です。



前半は日本は戦えましたが、後半は完全に力の差が出ました。前半はフィジカルでも互角に渡り合う時間帯がありました。15 - 28 というハーフタイムのスコアは決して絶望的ではなく、「あと一本返せば流れは変わる」という内容だったと思います。しかし、勝負を決定づけたのは後半開始直後でした。ジャリベール、ラモットに立て続けにトライを奪われ、試合はそこで事実上決着しました。強豪国は相手が少し緩んだ時間帯を逃しません。日本は逆に、その10分間で試合を失いました。

最大の敗因は空中戦だと思います。イタリア戦でも課題になりましたが、フランスはさらに徹底してきました。

・ハイボールを競らせる
・キャッチミスを誘う
・マイボールにして攻め込む
・反則を誘い、敵陣深くへキックする
・ラインアウトモールから圧力をかける

世界のトップ国が近年採用する非常に合理的なゲームプランです。実際、日本は空中戦で何度も押し込まれ、フランスはそこから攻撃の起点を作りました。現代ラグビーでは、WTBやFBは「ランナー」であると同時に「空中戦のスペシャリスト」であることが求められます。それを日本の指揮官は理解していないのでしょう。この試合は、その厳しい現実を突きつけられました。

バックスアタックも依然として課題だと思います。勿論、個々のランや継続はありました。しかし、

・デザインされたラインアタック
・数的優位を作る仕掛け
・複数フェーズ先まで設計された崩し

こうした世界基準のアタックはまだ見えてきません。フランスはシンプルな形でも必ず誰かが走るコースを理解し、サポートが連動しています。一方、日本はボールキャリアの個人技に依存する場面が多く、組織としての完成度にはまだ差があります。ただこれはアタックコーチがいないので仕方ないでしょう。......って、まだいないのかよ!!!

その他にも、

・規律
・スクラム
・ハンドリングエラー
・モールディフェンス

・選手選考
・選手構成
・選手交代のタイミング

課題は尽きません。



今回のサウスシリーズを総括すると、"世界標準"との実力差が浮き彫りになり、改めて日本代表の置かれている現在地が明確になっただけの印象です。ぶっちゃけ、現在地はとっくの昔から明確になっていると思うのですが、何が恐ろしいかって、指揮官が「方向性は間違っていない」と断言して、反省の素振りも見せず、毎回違うメンバー、毎回違う戦術で、同じような課題が、いつまで経っても改善の兆しが見えない事だと思います。

2027年W杯開幕まで、あとわずか440日です。



齋藤、本当にお疲れ様でした。無事で何よりです。試合後の、元チームメイトのSHグロウとの抱擁にはグッときました。