天使と悪魔の会話 - ウェールズ戦 -


2025年11月16日

第一章「天使と悪魔の再会」

悪魔「よう、久しぶり」

天使「ゲッ、悪魔さん、何しに来たんですか?」

悪魔「なんだよ、随分な言い草だな」

天使「悪魔さんが来るとロクなことないですからね」

悪魔「まぁ、それは否定できねぇな」

天使「で、今日はどうしたんですか?」

悪魔「どうもこうもねぇよ、お前も観ただろ、ウェールズ戦」

天使「観ましたよ」

悪魔「オレも観たんだけどよ、試合の後、頭に血が上ってよく覚えてねぇんだよ」

天使「しょうがないですねぇ」

悪魔「だから、まずは試合経過から教えてくんねぇか」

天使「分かりました」



第二章「試合経過」

天使「試合の入りはキック合戦からでした」

悪魔「お互いハイボール弱いし、最初はエリア欲しいもんな」

天使「そして2分過ぎに日本がオフサイドしました」

悪魔「おい、もしかして」

天使「はい、エピネリさんです、しかも10mオフサイドでした」

悪魔「またアイツかよ、多分いまだにルール分かってねぇんだろうな」

天使「そこから自陣に入られて、また日本のオフサイドです」

悪魔「はぁ?学習しねぇな」

天使「また、エピネリさんです」

悪魔「おい嘘だろ、勘弁してくれよ」

天使「そこからまた自陣深く入られ、最後はSOエドワーズさんに先制トライを獲られました」

悪魔「なるほどな、ウェールズの22mに入ってからの得点力は高いからな」

天使「ただ直後のキックオフでウェールズがオブストラクションを犯し、日本がゴール前まで入りました」

悪魔「いいぞ、いいぞ」

天使「ただフェーズを重ねる中で為房さんがノッコンして、結局ハーフウェイまで戻されました」

悪魔「ありゃりゃ」

天使「その後、色々攻防がありましたけど、ライリーさんのライン際への効果的なグラバーキックのおかげで、また日本が敵陣ゴール前まで入りました」

悪魔「ふむふむ」

天使「そして矢崎さんが機転を利かせ直ぐにボールを投げ入れ、スンシンさんが大外でフリーだったマキシさんにキックパス...」

悪魔「おおっ」

天使「ただマキシさんは、あと1歩追いつけずにノッコンでした」

悪魔「おい、思わせぶりな言い方すんじゃねえょ」

天使「すみません、盛り上がるかなぁと思って(笑)」

悪魔「まぁ、精度ってやつだな」

天使「その後14分くらいですか、ハイパントのこぼれ球を拾ったライリーさんがスルスルとラインブレイクし、フェーズを重ねて、最後は矢崎さんからのラストパスを石田さんが右隅にグラウンディングしました」

悪魔「あのプレーな。だんだん思い出してきたぜ。あれはライリーのサポートに付いたサトケンが、さらにゴール前まで運んだんだよな。あれは良いトライだったな」

天使「そしてスンシンさんが難しい角度を決めて 7 - 7 の同点になりました」

悪魔「あの時間帯は、日本の時間帯だったな」

天使「その後、20分くらいでしたか、これもハイパントのルーズボールを拾った日本が、矢崎さんにパスして、矢崎さんがハーフウェイから22mくらいまで見事にラインブレイク...」

悪魔「ふむふむ」

天使「フェーズを重ねてラックになったところでノッコンでした」

悪魔「おい、だからその期待させて落とすパターンは止めろって」

天使「すみません(笑)。ちなみにピック&ゴーを狙ったのでしょうが、ラックで無理な体勢から左手だけでボールを拾おうとしてのノッコンでした」

悪魔「まさか、それって...」

天使「お馴染み、エピネリさんです」

悪魔「アイツもう試合に出すなよ。一人で何回反則やミスしてんだよ。この試合だけじゃねぇぜ。いままでアイツのせいで何回ピンチになって、何回チャンス潰してんだよ」

天使「その後も日本は攻め込みながら、またノッコンでした」

悪魔「おい、それってまさか」

天使「違う選手です」

悪魔「ああ良かった...って良くねぇよ」

天使「その後24分くらいですかね、ボールと全く関係ない所で、日本がノーボールタックルでイエローもらいました」

悪魔「おい、まさか!...エピネリか?」

天使「正解です!」

悪魔「よっしゃー、当たったー!...って良い訳ねぇだろ。もう言葉も出ねぇよ」

天使「ただ日本は数的不利の中、26分にはスンシンさんが相手ボールをインターセプトしてブレイク、またまた良いサポートをしていたサトケンさんに繋いでアタック。途中でウェールズのノットロールアウェイがありPGを獲得しました」

悪魔「ああ思い出したよ。確かスンシンが右に外したんだよな」

天使「そうです」

悪魔「なんで1本目の難しいコンバージョンを決めて、今の優しい角度を外すか、お前は分かるか?」

天使「なぜでしょうか?」

悪魔「そんなの、メンタルが弱いからに決まってんだろ」

天使「日本がリードを奪うチャンスでしたから、悔やみきれませんね」

悪魔「本当にな」

天使「その後、28分くらいですか、また日本にイエローが出ました」

悪魔「ああ、アイツだろ」

天使「はい、マキシさんです」

悪魔「コイツも本当懲りねぇな。前も何かの試合でレフリーが『コーションですよ』って言った直後のプレーで、モールに横から入ってシンビン食らってたぜ。きっとエピネリと同じくらいラグビーIQが低いんだろうな」

天使「でも13人になっても、ウェールズに点を獲られなかったのは良かったですね」

悪魔「良かったというか、ウェールズの攻撃がショボすぎたよな」

天使「前半終了間際、ウェールズのWTBアダムスさんが危険なクリーンアウトで、イエローが出ました」

悪魔「で、スンシンがまたPG外すんだよな」

天使「はい、結局 7 - 7 で前半終了でした」

悪魔「本当どっちもどっちだったな。直前にイングランドvsニュージーランドの試合を観たせいか、同じスポーツとは思えないほどのレベルの低さだったぜ」

天使「はい、それは流石に私も否定もできません」

悪魔「でも後半の入りは、日本チャンスだったよな」

天使「結局、レッドに格上げされましたから、大チャンスでしたね」

悪魔「案の定、日本の時間帯が続いたよな」

天使「はい、46分には相手のオフサイドで、またPGを獲得しました」

悪魔「今度はスンシンが入れたよな」

天使「はい、真正面でしたからね」

悪魔「お前も結構言うな」

天使「すみません、つい(笑)」

悪魔「でもよう、こっから信じられない悪夢が始まるんだよな」

天使「はい、まず49分にエピネリさんに替わって、ホッキングスさんが投入されました」

悪魔「やっとアイツが退いて、ホッコが念願の代表デビューだぜ。リーグワンでどれだけ活躍したかは皆知ってるし、どれだけ待ちわびたかな」

天使「はい、でもファーストプレーが、自陣での10mオフサイドでした」

悪魔「...オレは自分の目を疑ったぜ」

天使「なんであんな初歩的な反則をしたのでしょうかね」

悪魔「単純に舞い上がってたり、緊張してたんじゃねぇの」

天使「やっぱり日本に来て5年、頑張って頑張って、やっと掴んだ代表ですから、普通の精神状態じゃなかったのかもしれませんね」

悪魔「そうだな」

天使「結局、それをきっかけに自陣深くまで入られ、最後はWTBリーズ=ザミットさんに決められ、12 -10 と逆転されました」

悪魔「あと、右隅からのコンバージョンを、エドワーズが難なく決めたのもデカかったよな」

天使「これで 14 -10 です」

悪魔「でもその後は日本も踏ん張って、日本の時間帯が続いたよな」

天使「はい、56分にはスンシンさんがPGを沈めて1点差に詰め寄り、60分にはマキシさんがトライを決め、コンバージョンも決まり 14 - 20 とリードしました 」

悪魔「ここまでは良かったけど、いよいよこっからだよな」

天使「はい、直後の相手のキックオフを獲った日本が、自陣でオフフィートを取られてしまいます」

悪魔「2つの大きな疑問が残ったよな。まずキックオフを獲った長田が相手との距離がまだまだある中で自分でタッチに蹴らずに中に回したことだよな。リードしてる後半なら、まず自陣を脱出するのが最優先だよな。そしてオフフィートを取られた竹内。オフフィートなんて自分が意識さえすれば防げる反則だからな」

天使「結局これを起点にWTBトンプキンズさんにトライを獲られて 21 - 20 と再逆転されてしまいました」

悪魔「そうだったな」

天使「それでも66分にはスンシンさんがPGを決めて 21 - 23 と日本が逆転しました」

悪魔「頼むからこのまま終わってくれと思ったよな」

天使「はい、でも最後にホッキングスさんの危険なタックルから攻め込まれ、SOエヴァンズさんがPGを決めて 24 - 23 でウェールズが勝利しました」



第三章「タラレバ特盛」

悪魔「最後、相手が蹴る前の LENNY の野郎の姿を観ただろ」

天使「はい、桜木花道さんばりに呪いをかけてましたね」

悪魔「その後の LENNY の放心ぶりは見てられなかったよな」

天使「はい、煙草に火をつける手が震えてましたね」

悪魔「でも日本中に似たような人はいたと思うぜ」

天使「結局、悪魔さんは敗因は何だと思いますか?」

悪魔「そんなの表面的にはいくらでも挙げられるぜ」

天使「例えば何ですか?」

悪魔「まずスンシンのPG外しは痛かったよな」

天使「はい」

悪魔「あと22mに何度も入っても獲りきれないシーンは今日もあったよな」

天使「ええ」

悪魔「前半の2人のイエローも痛かったよな」

天使「でも、結果的に13人でも無得点に抑えましたけど」

悪魔「そうだけどよ、その間にどれだけの疲労が重なったと思ってんだよ」

天使「確かにですね」

悪魔「そういう意味ではエディの選手交代も、あきれるほど遅くて下手だったよな」

天使「はい」

悪魔「第二章では書かなかったけどよ」

天使「第二章ってなんですか?」

悪魔「あ、わりい、こっちの話だ。いや、さっきは言わなかったけどよ、69分くらいのプレーも酷かったよな。残り10分で 21 - 23 でリードしててさ、相手ゴール直前でペナルティ貰った場面だよ」

天使「はい」

悪魔「ピッチ中央付近でボールを貰ったローレンスが、左大外にキックパスをしただろ。何をあんなに慌てる必要があるんだよな。仮にトライ獲れなくてもよ、ゆっくり時間使って、丁寧にフェーズを重ねて、トライを獲りに行くのが普通だろ」

天使「あれは、私も焦り過ぎだと感じました」

悪魔「結局、その後のプレーでラインアウトボールをキャッチしたホッキングスがノッコンして、得点入らなかったしな」

天使「そうでしたね」

悪魔「あとよ、78分の齋藤の判断もまずかったと思うぜ」

天使「何でしたっけ」

悪魔「相手の攻撃をマキシがターンオーバーした場面だよ」

天使「はい」

悪魔「齋藤が慌てて球出ししてさ、急いでループした後に、右サイドにグラバーキックして、結局それがタッチに出て相手ボールのラインアウトだぜ。どこの世界に、残り2分で敵陣で、慌ててトライ獲りに行こうとするやつがいるんだよ。そんなことお前でも分かるよな」

天使「はい、ラックを作り続ければ、2分くらいは稼げると思います」

悪魔「齋藤を庇うわけじゃねえけどさ、齋藤だって相当疲れてたと思うぜ。だからそういう普通の判断が出来なかったのかもしれねぇよな」

天使「それも、選手交代の遅れの弊害かもしれないということですね」

悪魔「あのプレーが無ければ、ホッキングズの反則も無かったかもしれねぇよな」

天使「そうですね」

悪魔「ホッキングスだって先発で出してやれば良かったんだよ。いくら緊張してたって、20分くらい経てば治るだろ」

天使「ホッキングスさんは、普通に80分間でもプレー出来ますからね」

悪魔「そもそも、あんなラグビーIQ激低男を先発に使うのが考えもんだぜ」

天使「それにしても悪魔さん、『タラレバ』ばっかりですね」

悪魔「馬鹿野郎、お前が敗因を聞くからだろ」

天使「『タラレバ特盛』ですね」

悪魔「何だよそれ」

天使「いえ、『ニラレバ特盛』だったら美味しそうだなぁと思って」

悪魔「やかましいわ!」



最終章「不透明な未来」

天使「でも結局1点差だったのが余計悔しいですね」

悪魔「いや、オレは今となっては逆に良かったと思ってるぜ」

天使「どうしてですか?」

悪魔「あんなヨレヨレのウェールズに勝ってもさ、メディアは『歴史的勝利!』とか騒ぎ立てて、試合内容やエディの戦術・選手選考・選手起用とか全く関係なしに、すべての問題が水に流れたかのように喜ぶのが目に見えてるからな」

天使「でも日本代表の未来はどうなるんでしょうかね?」

悪魔「さあな。直近なら4パターンだろ」

天使「と言いますと?」

悪魔「ジョージアにも負けて、エディが退任するケース」

天使「はい」

悪魔「ジョージアには勝って、エディが退任するケース」

天使「はい」

悪魔「残り2つは、もう分かるだろ」

天使「はい、でもW杯まで残り2年ですよね」

悪魔「9月開催だろ、代表活動はリーグワンが終わってからだから、実質あと1年ちょいだぜ」

天使「このタイミングで、もし新監督に替わっても、間に合うものなのでしょうか?」

悪魔「エラスマスが、わずか1年8か月でボクスをW杯で優勝させた例もあるからよ、誰がなるかによるんだろうな」

天使「そうですね」

悪魔「勿論、流石の協会もプランBを考えてないことはないだろ」

天使「そう願います」

悪魔「なんか12位に入ればW杯の予選を自動的に勝ち上がれるんじゃないかって風潮があるけどよ、いくら仮に12位になったって、エディが続けてて未来はあるか?それよりいっそのこと13位になって、リーグワンに精通している新監督を迎えて、イチから出直した方が良いんじゃねぇのかな」

天使「そうかもしれませんね」

悪魔「それでもやるべきことは山積みだぜ」

天使「そうですね」

悪魔「お前も試合後の選手たちの顔見ただろ」

天使「胸が痛くて直視できませんでした」

悪魔「たまには笑顔が見たいよな」

天使「はい」

悪魔「本当にこれからどうなるんだろうな...」


おわり