女子日本代表(サクラ15)


2025年1月28日

先週、8月のW杯に出場する、サクラ15のスコッド36名が発表された。

第一印象は、良く言えば保守的、悪く言えばあまりにも無策。

今、女子のランキングではレッドローズ(イングランド)がダントツの1位。2位のカナダと3位のブラックファーンズ(ニュージーランド)が鎬を削っている。そして4位のフランスがなんとか2位3位グループに食らいついている。5位のワラルーズ(オーストラリア)から10位のウェールズまでが、また1つのグループを形成し、少しポイント差が離れた状態でサクラ15が11位だ。

ここ最近の大きな大会におけるサクラ15の成績は以下の通り。
2022年W杯:0勝3敗で最下位でプール戦敗退。
2023年WXV2:1勝2敗で6チーム中4位。
2024年WXV2:0勝3敗で6チーム中最下位。

サクラ15の最大の課題は「得点力不足」。これは誰の目にも明らかだと思う。2019年にレスリー・マッケンジーさんがHCになって以来、サクラ15が進化していることは間違いない。特にディフェンス面では、世界の強豪国と互角に渡り合えるくらいに成長してる。タックルは既にワールドクラスだ。ランキング上位4チームには、正直、実力的には及ばないかもしれないが、5位以降のチームには、サクラ15の低いタックルやダブルタックルは十分に通用するレベルになっている。そして2年前くらいまでは大きな課題の1つであったラインアウトも、最近では劇的に改善されている。

繰り返しになるが、課題は「特にバックス陣の得点力不足」。あまりにもバックス陣が不甲斐ない試合が続いている。もう1つの課題が「キッカー不足」。世界で通用するレベルの、正確で距離の出るキッカーが少な過ぎる。女子がコンバージョンは外しても仕方ないと思われていた時代は、もうとっくに終わっている。世界では難しい距離や角度のキックを、いとも簡単に決められるキッカーがゴロゴロいる。特に1点を争うテストマッチでは、30~40mのペナルティはPGを選択するチームが沢山ある。

今週末、女子の日本選手権決勝が行われる。それまでに関東大会(OTOWAカップ)と関西大会が行われた。今年はW杯イヤーということもあり、特に沢山の試合を観た。現地で観戦した試合、インスタやYouTubeで配信された試合。観れる試合はすべて観たつもりだ。

そこには国際大会で観たい選手、恐らく通用するであろう選手が沢山いた。例えば、関東大会。以下が3トライ以上獲った選手達だ。

◆ 8トライ
・YOKOHAMA TKM:HO小島 晴菜

◆ 5トライ
・東京山九フェニックス:HO地藏堂 萌生
・横河武蔵野Artemi-Stars:No.8高野 眞希
・立正大学アルカス:CTB小出 深冬

◆ 4トライ
・東京山九フェニックス:WTB奥野 わか花
・YOKOHAMA TKM:FL永岡 萌
・横河武蔵野Artemi-Stars:HO谷口 琴美
・RKU グレース:FL冨岡 日和
・RKU グレース:No.8城 遥花

◆ 3トライ
・東京山九フェニックス:LO佐藤 優奈
・東京山九フェニックス:FL水谷 咲良
・東京山九フェニックス:WTB大竹 風美子
・東京山九フェニックス:WTB山本 侑衣菜
・東京山九フェニックス:WTB野原 みなみ
・横河武蔵野Artemi-Stars:PR菅 萌絵
・RKU グレース:WTB土井 美咲
・日体大:No.8向來桜子

関西大会は、上位チームと下位チームの差が激し過ぎて100点差以上の試合が連発したので、トライ数の詳細は割愛するが、圧倒的なパフォーマンスを見せてくれて選手が沢山いた。例えば、

・PEARLS:CTB古屋 みず希 - ラグビーIQが高く、攻撃チャンスの起点を何度も作っていた。
・ながとブルーエンジェルス:No.8小西 想羅 - ワールドクラスのキャリーを誇る。
・ながとブルーエンジェルス:SO新野 由里菜 - 恐らく精度、飛距離とも日本No.1キッカー。



W杯、サクラ15はPOOL C。ブラックファーンズ、アイルランド、スペインのいるプールだ。予選突破するには、ブラックファーンズは難しいかもしれないが、スペインとアイルランドを撃破しなければならない。格下のスペインには勝てると仮定し、問題はアイルランドだ。アイルランドは現在6位。ただ2022年の夏に秩父宮でサクラ15に敗れたアイルランドは、いまはもういない。昨年のWXV1ではブラックファーンズを破り、レッドローズに次ぐ2位の成績をあげるまでに成長している。現在、世界最高峰の女子リーグであるプレミアシップで活躍中の選手に直接話を伺ったところ、2年前にアイルランドのコーチが各チームを周り、アイルランドにルーツがある選手にも焦点を当て、チームを再結成したところからスタートしたとのことだ。少し話は逸れるが、カナダもHCが少し前に変わり組織体制が変わり、実力があってもチームにコミットできなければ切るなどの改革を経て、今本当に強くなっている。レッドローズを倒すのは自分たちしかいないと話しているそうだ。それは口だけでなく中身や本人たちの確信を持った発言で本当にすごい、と先の選手は話していた。

世界上位のチームですら、変わろうとしている。そして変わった結果、強くなっている。勿論、サクラ15の代表に相応しいメンバーも沢山選ばれている。ただここ数年、全く結果も内容も伴っていないバックスの選手が選ばれ続けているのも事実だ。サクラ15はまだまだチャレンジャーだ。明確な弱点をテコ入れせずに、結果を恐れて変化もせずに旧態依然としてて、一体どんな未来が待っているというのだろうか。リーグワンで明らかに活躍した選手を選ぶことをせず、自分の戦術や合宿の過ごし方をよく知ってるベテラン選手やお気に入りの選手たちを多く配置したジェイミー・ジョセフHC。レスリーHCにジェイミーと同じ匂いを感じる。

7月下旬に発表予定のW杯登録メンバー32名に、上記の関東/関西大会で活躍した選手達(上記に記載がない選手も含め)が、1人でも多く入ることを願うばかりだ。